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2012.06.10 Sunday

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「正しく見るためには二度見よ。美しくみるためには一度しか見るな。」
2010.04.17 Saturday 00:43
――Henri Frédéric Amiel


久しぶりに本を買った。相も変わらずSFだが。船舶かぶれな身には珍しく、全員日本人だった。


ゼロ年代SF傑作選
一番最初に読んだ傑作選はジュディス・メリルの50年代SF傑作選で、他のSFを読み漁っていく段階で60,70,80,90と読んでいった。どうも目が肥えるのか期待のハードルを上げすぎたのか、時代が下るにつれてあまり好きな作品を見つけられなくなっていたのだけれども…久々に短編集をということで購入。以下各作品について。

「マルドゥック・スクランブル”104”」(冲方丁)
アクション中の寸劇が好き。こういう世界がマルドゥック市なんだという気がする。短編としては護衛対象の人物造形が、過去−現在−未来につながる形に手堅くまとまってていてさすがの筆力。

「アンジー・クレイマーにさよならを」(新城カズマ)
ボルヘスと古代ローマと女学生の混ざり合う雰囲気小説。色々実験的な部分はある気がするけれども、どうもちぐはぐな感じがして全体としての繋がりが見えなかった。あまり相性が良くないのかも…。

「エキストラ・ラウンド」(桜坂洋)
スラムオンラインは文体が合わなくて投げたけれどもこっちはOKだった。短編なのが良かったのかも。ネトゲにおけるオンとオフにおけるそれぞれの“日陰者”を描くのは面白いなあ。あとあり得ないとかファンタジーといわれようが、ああいう世界でRPを貫くことは可能で、それには結構パワーが必要なんですよ。個人的にはそれだけで評価がプラス。

「デイドリーム、鳥のように」(元長柾木)
よく分からない。あと童話のメタファー自体に納得できないのでいまいちのめり込めず。

「Atmosphere」(西島大介)
短い…。乾いた描写が狙ったのか紙面が足りなかったのか区別が付かない。もうちょっと書き込んで欲しかったなあ、というのが正直な所。

「アリスの心臓」(海猫沢めろん)
音の造形、微細な色、内側の領域の問答といった小道具は好み。しかし全体としてはちょっと散漫で雰囲気小説に近い気がする。タイポグラフィーはあまり必然性を感じない。導入したくなる理由は分からないでもないが、導入することでインパクトが生じたかと言われてもなあ、というところ。

「地には豊穣」(長谷敏司)
ナノウェアによる知性、経験/意識への介入に対する意志決定問題に文化と政治的問題をトッピングして濾したような話。ワンアイディアで二転三転させてつなげる展開は、ラストの美しさと相まって短編としての完成度が非常に高い。しかし投げっぱなしエンドでもある。

「おれはミサイル」(秋山瑞人)
戦闘機とミサイルのコミュニケーション。全く異なるアーキテクチャを持つ二種の交流は一期一会のファーストコンタクトものかもしれないし、空を移動する戦闘機たちの泥臭い有様はどことなく複葉機のレトロな時代を感じさせる。しかし、会敵と空戦がこのコンタクトは基本的に一期一会のものにする。不思議な読後感。

全部読んでみて思ったのは、意外と00年代SFの空気が好きだったってことだ。どうも90年代は、虚構がリアル感を全面に押し出して鼻についたのだが00年代以降はあまりそういうのが無くなったように思う。ちょうど仮想現実(Virtual Reality)の代わりに複合現実(Augumented Reality)が出てきた時期とも一致するのか、技術によってもたらされる領域が現実と地続きであることを受け入れるような空気がある、と思う。今後十年、それさえも当たり前になった10年代の作品が出てくるのかと思うと今から期待が高まる。
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