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2012.06.10 Sunday

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「食わず嫌いはよくないな」
2010.04.17 Saturday 01:19
 正直に言うと日本人作家は今まであまりチェックしていなかったのです。それを後悔した。

 タイトル通りの死の集積に、高度情報化社会、テロリズム、グローバリゼーション、経済格差、社会言語学、哲学に心理学とあらゆる要素を織り込んで描かれる近未来社会。
SFとしての枠組みは「技術の進歩によってどのように認識/意識が変わるか?」という思考実験です。例えば脳科学に 数学的アプローチを経由して個人の意志決定問題に帰着させればグレッグ・イーガンですが、この作品ではその「仮定」となる領域が多岐にわたることが特徴です。戦場に投入される最先端のテクノロジーがいかにして兵士の状態を変え、制御し、そしてそれを支える技術の裏側にある労働力がいかにあるか。高度情報化社会の作り出す自由と不自由。少しの進歩がもたらす少しの変化が重なりあい、繋ぎ合わさって未だ見ぬ何か形成する有様を、現代に信じられているものを変容させる過程を描いています。これらの変化の描き方は層が厚くただのSF小説ではなく軍事・スパイ小説としても評価されているのも頷けます。
 しかし、この「技術の進歩によってどのように認識/意識が変わるか?」という思考実験そのものは、作品の主題ではありません。少なくとも個人の認識・意識に対してはそこまでつっこんだ話はありません。その変容し、歪さを抱える社会に囲まれた登場人物が「何を選択するか」という部分に、この物語は帰着します。そのたびたび浮かび上がる選択肢の問題と、その最後の選択によって、「虐殺器官」の社会を描ききったと言えるでしょう。
 正直テーマは重いし血まみれなので万人に勧められる本ではないですが、オールタイムベストに入ってもおかしくない作品です。SFとは関係なしに、重さが大丈夫な人には読んで欲しい本です。

そして後書きで訃報を知る。作品をもっと読みたい、というタイミングで訃報を知るのはジョージ・A・エフィンジャー以来だ。惜しい人を亡くした…。
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2012.06.10 Sunday
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