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2012.06.10 Sunday

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「regretful summer」
2006.10.12 Thursday 23:54
もはや夏ではない。秋も半ばなのか…。
結局夏の間に何も読めなかったなあ。数年前の「読みたい物リスト」を見たら、今と全然変わって無くて笑った。文学作品を読まなくてはと思いながら全く読んでないあたりも。

「過負荷都市」神林長平
 カフカを意識しているかどうかは知らない。しかし「起きたら甲虫じみた装甲(アーマロイド)の中にいて脱げなかった」は変身のオマージュなんだろう。現実を改変するスプレー缶はやはり「ユービック」(P.K.ディック)を思い起こさせる。「完璧な涙」に出てきたエリクサーも。

「ビーナス・プラス・エックス」セオドア・スタージョン
 ジェンダー/ユートピアSF。異なる星に転送された男がユートピアに出会い、一方一般的なアメリカ社会のあり方が並行して描かれる。途中で合流してどんでん返しになるのかと思いきや、全く重ならなかったので逆に驚く。テーマ(性差)やイメージ(情景)のレベルでは繋がっているのだけれど。
 こういうのを題材にしてジェンダーものの小論文を書くことも出来なくはないのだろう。というか「ケルベロス第五の首」(G.ウルフ)を題材にして自己同一性についての話を書くよりは論点を纏めやすそう。あれは相当取り留めもない文章だった。
 アブダクションと見せかけて実は。この最後の落としがどのレベルで来るかで、話のテイストも随分変わると思う。早すぎず(そうするとエピローグが長く湿っぽくなりがち)遅すぎず(そうすると最後で投げっぱなしになる)、割と好みな位置。

「スターメイカー」オラフ・ステープルドン
 超スケールの宇宙史。造物主(スターメイカー)に対する思弁をSF(と疑似科学)の手を借りて語っているような印象。
 全体的に硬く澄んだ文章。西洋哲学の香気がきつくて好みではないが作者が哲学者でもあるので、それは当然かも。1935年刊行なのに、既にビッグバンを起点とした宇宙の体系を(科学的考証はともかく)構築していたというのは見事の一言に尽きる。中盤からSFとしてのエンターテイメント性(楽しい嘘)をかなぐり捨て、哲学に近い世界の有り様を叩き付けてくる。流石に哲学者兼作家なだけあり、その描写のぶれのなさ、論理性には脱帽する。《無窮》という概念は通常のSFの(人間視点の)記述では殆ど描けないから、人間の視点が切り捨られたこの書き方しかないのかもしれない。
 前半の“楽しい嘘”ではは精神だけで宇宙を飛翔する男の魂が数多の世界を巡り、その中の様々な“人類”についてを記述する。異なる星の成り立ちを由来にする感覚や認識の違いといった、科学的嘘(Science Fiction)が楽しい。
 後半は、精神性を高めて進化していった一部の人類の話。インフレするユートピアと止揚を続ける精神世界。この辺りで私の想像力がユートピアの質的インフレに付いて行けず紙面をなぞるだけ。とはいえ、語り手自身がこの時点で既にユートピアの細部を「現段階の人類」には理解不能な領域と言い切って切り捨てるのだが、それは致し方ないと思う。作者には朧気ながらそのユートピアが見えているのでしょうか。
(想像できないものは書くことができない。そういう意味でSFの限界も暗喩しているのか? しかし訳がわからないものを「訳がわからない」ままに描写することは不可能ではないはず。)

 スターメイカーで語られた一面(ユートピア社会の進出)を、正統派のSFとして語るならが「ディアスポラ」グレッグ・イーガンになるのだろう(「ディアスポラ」の描写密度で、スターメイカーで触れられていること全てをを書ききることは不可能だが)。

 ドラマではなく宇宙史。人間レベルのドラマは無い。他の話(「最初にして最後の人類」「オッド・ジョン」「シリウス」)もこんなノリなのだろうか。

その他:「スキャナー・ダークリー」(もしくは「暗闇のスキャナー」) P.K.Dが映画公開
映像は実写フィルムをトレースしてアニメ化したという凝ったもの。PKDは電気羊とユービック、高い城の男、ニックとグリマング、短編のごく一部しか読んでないけど気になるー。インディペンデントなので日本では劇場公開するか不明ですが、DVDでも来てほしいものです。
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2012.06.10 Sunday
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